振り込め詐欺などの、高齢者や弱者を狙った詐欺事件は後を絶ちません。
最近はamazonギフト券を使用した手口が増えているような印象ですが、同じくデジタルギフト券であるitunesカードも詐欺の温床にされているというのです。
どうしてこのような詐欺事件が増えているのでしょうか?
なぜitunesカードを使った詐欺事件が増えたのか
振り込め詐欺と言えば、身内などを装って不特定多数に電話をかけて、嘘の口実をまくしたて指定の口座に現金を振り込ませるという手口です。
身に覚えのないサイトの利用金額の請求メールや、ハガキなどで通達し、記載されている口座に架空の使用料金などを振り込ませようとします。
このように、今までは現金での詐欺だったのですが、この数年の間でamazonギフト券やitunesカードなどのデジタルギフトを使った詐欺も増えつつあるのです。
これからは振り込め詐欺と同様に『amazonギフト券を買って下さい』『itunesカードを送って下さい』などのワードには十分注意する必要があります。
犯人特定の難しさ
こうした所謂『ギフト券詐欺』が数年の間で飛躍的に増えたのはどうしてでしょう?
まず一番に言える事は、デジタルギフト券の詐欺は振込みと違って犯人特定が難しいからです。
振り込め詐欺救済法というものが出来てからは、騙されて犯人の口座に振り込んだ後でもその口座を凍結させて被害金を取り戻せるというケースが多くなったのです。
それに引き換え、itunesカードなどの場合は凍結させる口座は勿論ありませんし、だまし取られたギフトコードを誰が登録したという事は個人情報の観点からApple側は一切教えてはくれません。
『警察に被害届を出して下さい』と言われるのみで、それ以上の対処はしてくれません。
警察も頭を抱えている
そして警察に被害届を出した場合でも、よっぽどの事がない限り警察がまともに動く事はありません。
あまり過剰に犯人特定の操作を訴えてたとしても、逆に騙し取られた側の落ち度を指摘されてしまうでしょう。
万が一、警察の捜査が入ってアカウントの特定が出来たとしても・・・犯人は十中八九、偽物の個人情報でアカウントを作成しているでしょうから結局は犯人の素性にたどり着くことは出来ません。
そもそも既にアカウントは削除されている事も十分かんがえられます。
このような理由でitunesカードなどのデジタルギフト券が詐欺に使われる事が多くなったのです。
具体的な詐欺の手口
それでは、itunesカードを使った詐欺事件の手口をいくつか紹介していきたいと思います。
Appleからの公式なアナウンスとして以下のような事例発生による注意喚起がされていました。
要点をピックアップして更にかみ砕いて説明しましょう。
まず、税金・医療費・保釈金・借金・光熱費などを払うようにとの連絡が来るという点です。実際にこのような名目で請求される事はほとんどありません。
それよりも多いのがアダルトサイトの利用料金という名目だったり、出会い系サイトの登録・利用料金などの『ありもしないサイト』の利用料金を請求してくるパターンが多いです。
更には、「速やかに支払いをしないとお客様の家族・会社などにも連絡をする」などという脅し文句がついてきます。
【そのような事態になってしまったら私の家庭や職場の立場が大変な事になってしまう・・・】
という危機感を与えるのです。
この「危機感をあおる」というのが人の正常な判断力をどんどん鈍らせてしまうのです。
そして最終的に“匿名性を尊重したい方には、ギフト券でのお支払いも可能です”という風に相手の弱みに付け込んだ形でギフト券を買わせて、そのコードを送らせようとするのです。
LINE『乗っ取り』詐欺
今や多くの人が利用しているメッセージアプリのLINEですが、そのLINEのアカウントを乗っ取った上でそのアカウント本人になりすまし、詐欺を働くという手口があります。
乗っ取ったアカウントを使って、その人の知り合いのアカウントへ以下のようなメッセージを送るのです。
『itunesカードを買って欲しい』
『今どうしても必要なんだけどお金が無くて』
『来週になったらお金は返す』
『他に頼める人いないからお願い』
『コンビニで買って裏面のコードの写真を送って』
などのシンプルな内容が多いです。LINEは基本的に短文でのやりとりが主流ですし、知り合い同士なら尚更このような砕けた文章になります。なのでわざわざ『もっともらしい騙し文句』を考える必要が無いのです。
なので、このような乗っ取り詐欺は外国人詐欺グループの犯行が多いです。
LINEのやりとりの中で少しでも言葉遣いがおかしいなと思ったら、相手のアカウントが乗っ取られている可能性がありますので注意しましょう。
SNSでのプレゼント企画を装った詐欺
TwitterなどのSNSサービスを利用したitunesカード詐欺のケースもあります。
『品切れ続出!任天堂スイッチを〇〇名様にプレゼント!!』
などの文言で人を集め、送料分はお客様が負担などの理由をつけてその料金分をitunesカードで支払わせるという手口です。
支払いをしても当然、希望の商品は送られてきませんし、詐欺だと気づいた時には既に相手のアカウントは削除されているでしょう。
このようにSNS上でのアカウントを介した金銭のやり取りは非常に危険です。
Twitterのアカウントだけでは信用されずらいという事を踏まえて、架空のホームページを作成して『あたかもしっかりとした会社が存在してる風にみせかる』という事も最近では珍しくなく誰でもわりと簡単に出来てしまいます。
美味しい話には飛びつかない固い意志が必要です。
出会い系などを利用した詐欺
優良な出会い系サイトなどは会社だとしても、その利用者がどのような目的で利用しているのかはわかりません。
中には悪だくみを目論んで男性の利用者に近づこうとする人がいるのも覚えておかなければなりません。
コミュニティサイトには危険がいっぱい
また、これはSNSにも言えるのですが、援助交際などの売春を匂わせて男性を誘い、出会う前に先払いとしてitunesカードをだまし取るという事があります。
このケースは、仮に騙されたと気づいても警察に相談しにくいという心理を利用した非常に悪質な手法です。
無料で利用できるようなコミュニティサイトは特にそのような詐欺アカウントが横行しやすいという事を理解した上で慎重に利用しましょう。
お悔やみ欄を悪用した詐欺未遂も
夫が亡くなった女性に対して手紙を送り詐欺未遂事件を働いた男性が逮捕されました。
内容としては以下の通りです。
「ご主人が生前から利用していた“レンタルスペース”業者のものです。この度、お預かりしていた荷物の中にわいせつなDVDを発見しました。内容としては児童ポルノに該当するものですのでお知らせ致しました。違反金をお支払しなければ警察に提出します」
男性はこのような内容の手紙を新聞のお悔やみ欄を見て100通近くの遺族の方に送ったと言います。
このような詐欺ケースもあるので最近で身内の不幸があった方は注意しましょう。
itunesカード詐欺での被害金の回復は難しい
itunesカードの詐欺被害にあってしまった場合、残念ながらその被害金を取り戻す事は難しいようです。
だからこそitunesカードの使用には細心の注意が必要ですし、それほどまでにitunesギフトコードは大切に管理する必要があります。
それでも泣き寝入りという訳にはいきませんので、詐欺被害にあった場合は必ず警察に連絡するようにしましょう。
連絡が早ければ早い程、犯人特定の可能性が高まりますし、被害金が戻ってくる可能性も高まります。
また、詐欺業者とのやりとの途中で『怪しいな?』と思った場合、相手側にこちらが怪しんでいる事を気づかれる前に警察に連絡する事が出来れば一番です。
まとめ
今もなお横行している詐欺事件。その手段にitunesカードが使われているという事が嘆かわしいですし、そのような事件を一件でも多く減らしていく事が健全な社会形成の為に大切な事です。
その為には、警察だけの範疇では完全なる根絶は難しいのが現状。
大切なのは被害者になりうる私たちが詐欺事件に対して正しい認識と知識を持って、自分自身は勿論ですが周りの親族や知人などが事件に巻き込まれないように目を光らせ手を差し伸べてあげる事が重要なのです。
最後に、基本的な事ですがitunesカード詐欺防止について守って欲しい心得を紹介したいと思います。