個人事業主などの店舗がキャッシュレス決済を導入する際におすすめの種類やデメリットなどについて解説していきます。
今の時代はすっかりキャッシュレス決済というものが日本でも浸透しつつありますが、大手チェーン店だけでなく最近では個人店舗などでも導入の傾向が強いということです。
その際におすすめの種類やデメリットなどはあるのでしょうか。
キャッシュレス決済導入のメリットとは?
利用者にとってのキャッシュレス決済のメリットはなんといっても現金を持たなくて良いことです。
誰もが一度は小銭でパンパンの財布にうんざりした経験はあるでしょう。
現金でのやりとりをしない支払い方法ですから会計時の時間短縮にもなりますし、利用履歴も残りますので適切に家計管理をしたい方におすすめです。
さらに決済に利用するだけで割引やポイント付与を受けられることもあり、還元率は消費者にとって最大のメリットです。
一方、店舗(経営者)側にとってのキャッシュレス決済のメリットは、お釣りを手渡しする必要がなくなる事がまず1つ言えます。
これにより釣り銭の金額ミスが無くなるので余計なトラブルが解消されます。
また、直接お金を触る機会が減るので衛生的な観点においてもメリットがあるも考えられます。
さらに「今お財布に現金が無いから」という理由での販売機会損失も防ぐこともできますし、逆に「キャッシュレス決済に対応しているなら行こうかな」という“呼び水”的な役割も期待できます。
現金払いのみの店舗よりも「現金払い+キャッシュレス加盟店」の方が集客見込みがあるというのは自明の理であると言えるので早めの導入をおすすめします。
おすすめのキャッシュレス決済は何種類ある?
今現在、どれだけのおすすめキャッシュレス決済が存在するのでしょうか。
ここで一旦おさらいしてみましょう。
クレジットカード
最も一般的になっているキャッシュレス決済。
ポストペイ(後払い)方式で1か月分の利用額を決められた期日にまとめて支払います。
ポイント還元もうけられるので正に「キャッシュレスの王道」というイメージ。
初心者の方も、これからキャッシュレス決済を活用したいという方の全てにおすすめです。
デビットカード
リアルペイメント(即時支払い)方式ともよばれています。
利用と同時に登録してある銀行口座の残高からすぐに支払われます。
プリペイドカード
プリペイド(先払い)方式で、事前に入金しておかないと利用できません。
Quoカードや商品券など「店舗で利用できるタイプ」とiTunesギフトカードなどのように「オンライン上で利用できるタイプ」の2種類があります。
また、dカードプリペイドのような携帯キャリアが発行しているプリペイドカードに関してはチャージ方法にキャリア決済が使えます。
仮想通貨決済
「ビットコイン」などで有名になった仮想通貨。
大手家電量販店などでの取り扱いもあり、そもそも実在するお金がないのでまさに究極のキャッシュレス決済といえます。
ただし、まだ投資目的の要素が強く本来の通貨としてや決済手段として普及するのにはまだまだ時間がかかりそうです。
電子マネー
タッチ一つで支払いが可能なキャッシュレス決済。
あらかじめチャージして利用というプリペイド(先払い)方式がすでに普及されています。
交通系のSuica・ICOCAから流通系のWAON・nanacoなどが有名です。
先ほど挙げたポストペイ型での電子マネーもあり、iDやQUICKPAYなどはクレジットカード代金と一緒に請求されます。
スマホ決済
今最も伸びしろのあるキャッシュレス決済で、スマートフォン一つで商店でもネットでも楽に決済できる方法。
「キャリア決済」はICカードを持ち歩くわけではなく、スマートフォン自体をタッチして支払いができます。
ApplePay GooglePay、おサイフケータイなどがあり、多くはスマホ利用代金とまとめて支払います。
QRコード決済
そして存在している様々なキャッシュレス決済の中で新たなスタンダードとして頭角を現しつつあるのが「QRコード決済」です。
「○○Pay」と呼ばれるサービスを聞いたことがあると思いますが、それらの総称です。
店頭での支払い時にスマホのアプリを立ち上げ、画面上の「QRコード」「バーコード」などを読み取って支払います。
支払い時はスマホ一つですが、引き落とし(支払い)先はあらかじめ登録しているクレジットカードや銀行口座から行ったり、事前にチャージした状態で行います。
今後キャッシュレス決済は「QRコード決済」が主流に?
2022年時点での、キャッシュレスサービスにおける利用率ベスト3は以下のようになっています。
- クレジットカード
- 電子マネー
- QRコード
クレジットカードはキャッシュレスサービスの中で最も歴史が古いので利用者も多いのは理解できますし、電子マネーに関しても交通系ICカードの普及が利用者増の大きな要因と言えるでしょう。
そんな中、ここ数年足らずで急激な利用者増加傾向にあるのが「QRコード決済」。
QRコード決済は導入する店舗側も初期費用が少ないと言われており、現在爆発的に店舗数が増えている決済方法です。
既に中国では一般生活圏において普及しており、自国サービスだるAlipayや WeChatPayが主に使われています。
近年の日本について、今後も中国人観光客が増えていくことを考えるとQRコード決済を導入せざるを得ない状況になっているといっても過言ではありまません。
利用者側はスマホをタッチするだけの非接触型のほうが楽ですが、今後を考えるとQRコード決済を店舗側としても導入していくのがおすすめです。
キャッシュレス決済を店舗導入する際の費用
店舗がキャッシュレス決済を導入する際には一体どの程度の初期投資が必要なのでしょうか?
おおよそ必要となる金額と内訳をみてみましょう。
キャッシュレス決済端末
まずはキャッシュレス決済をするための端末を購入する費用です。
クレジットカードを差し込んだり電子マネーをかざして読み込んで決済を行う「小型のカードリーダー」です。見たことがある・使ったことがあるという方も多いのでは無いでしょうか。
通常の場合、キャッシュレス決済端末はおよそ7,000円~30,000円程度するのですが、キャンペーンによって0円で提供さていたりするので探してみると良いでしょう。
QRコード決済の場合は、読み取る為のQRコードが印刷されたキットを使うだけなので端末費用はかからない事が多いです。
スマホ・タブレット
キャッシュレス決済端末がお支払いをする為の「現金トレー」だとしたら、それだけではなく「レジ」も必要ですよね。
キャッシュレス決済を店舗導入するにはスマホ・タブレット端末から専用のアプリをダウンロードする必要があります。
そのアプリ上で決済手続きや金額の入力などの「レジ作業」を行うのです。
そのデバイスを購入する代金が必要となる場合がありますが、キャッシュレス決済を申し込みする際に無料で付属するキャンペーンを開催しているところもあります。
ネット通信費
キャッシュレス決済アプリはインターネット回線に接続した状態で利用するものなので、Wi-Fiや携帯のモバイルデータ通信の環境が必要となります。
格安のスマホプランを契約すれば月1,000円~2,000程度で運用可能ですが、そういった格安プランは総じて通信量が少ないので速度制限などが起こりやすく、それによってアプリがスムーズに利用できない可能性が考えられます。
通信障害によって決済がもたついてしまっては折角のスマートなキャッシュレス決済の意義が損なわれますしユーザビリティも低下してしまいます。
商売としてフルにキャッシュレス決済を使っていくのであれば常に容量無制限で通信速度も早く安定したWi-Fiサービスを検討しましょう。
費用は月3,000円~6,000円程度、店舗外への移動も伴うという方は持ち運びができるモバイルWi-Fiがおすすめです。
決済手数料
キャッシュレス決済端末を利用するにあたって「決済手数料」というものが発生します。
決済手数料は利用する事業者によって異なりますが、平均して3.24~3.95%です。
あまり大きな開きはないので比較する上での決め手にはなりにくいかなと思います。
クレジットカード決済を始め、このような手数料が発生する事がデメリットと感じている方も多いかと思います。しかし、事業者にとってはこの手数料で売上を立てているという所があるのでどうにも仕方ない部分はあります。
因みに、楽天ペイでは「QR決済手数料実質0円キャンペーン」というものを開催していますが、キャンペーン終了後の決済手数料については【キャンペーン終了日時までにメールでご案内いたします。】との事なので手放しでおすすめとは言えないところはあります。
キャッシュレス決済の導入方法は2種類
キャッシュレス決済を導入する際には大きく分けて2種類の方法があります。
それぞれの特徴と、どちらを選ぶのがおすすめなのか解説していきます。
キャッシュレス事業者と直接契約する
キャッシュレス決済サービスを提供している事業者に直接契約する方法です。
QR決済・電子マネー決済・クレジットカード決済における代表的な事業者は以下のようなものがあります。
QR・バーコード決済 | PayPay(LINE Pay),d払い、楽天ペイ、au Pay |
電子マネー決済 | Suica、楽天Edy,iD、QUICPay |
クレジットカード決済 | VISA,MasterCard、アメリカンエキスプレス、JCB |
上記の様な事業者のウェブサイトなどから1つ1つ個別に申し込みの申請をしていくので手間がかかります。
また、それぞれ入金サイクルが異なるので売上金の管理が大変というデメリットも。
ただ、QR・バーコード決済を導入にする場合に限っては次に紹介する「決済代行」を利用するよりも決済手数料が安くなる事があります。
決済代行会社を介して契約する
決済代行会社というものを利用すれば必要なキャッシュレス決済サービスに対してまとめて申請を行ってくれます。
また、売上の締日や入金日なども統一されるので経理作業の負担が減ります。
レジ前などに設置する機器や販促物「○○Pay使えます」というようなポップに関して、直接契約の場合は契約した事業者ごとに設置する必要がありますが、決済代行会社の場合は1つにまとめられてるので省スペースになります。
ただし決済手数料に関しては直接契約よりも高くなる事があります。
有名な決済代行サービスは「AirPAY」「Square」「STORES」「Uペイ」「おてがるPay」などがありますが、この中でAirPAYは対応しているキャッシュレス決済サービスが最も多く初期費用も安いのでおすすめです。
キャッシュレス決済導入における補助金制度
キャッシュレス決済を店舗に導入する際に申請できる補助金制度について幾つか紹介します。
申請には審査があり、それに必要な事業計画書や経営計画などをまとめて提出する必要があります。
その上で行われる審査は決して緩いものではないので、ハードルは高めではありますが審査が通れば「金銭的な負担なく導入できる」「決済手数料の1/3を国が負担」などのメリットがあります。
他にも個人事業主向けの補助金制度として以下のようなものがあります。
名称 | 補助金制度の内容 |
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IT導入補助金 | ITツールを導入する際の費用に関する補助金制度 |
小規模事業者持続化補助金 | 小規模事業者が対象の補助金制度 |
ものづくり補助金 | 飲食店の設備投資を支援する補助金制度 |
業務改善助成金 | 人材教育やコンサル費、設備に関する補助金制度 |
上記の内容はキャッシュレス決済を導入する上で少なからず関係するので、該当しそうな制度があれば積極的に申請していきましょう。
個人店舗はキャッシュレス決済がおすすめ!まとめ
令和になり、時代はキャッシュレス戦国時代に突入したといっても過言ではありません。
多くの事業者がキャッシュレス決済サービスを提供しており、ユーザーはその便利さを享受して言います。
大手チェーンのみならず、個人経営の店舗や個人事業主などにおいてもこれからはキャッシュレス決済を随時導入していく方がメリットが多いと思われます。
それどころか、今後もずっと現金払いのみの経営を続けていくというのは実質難しく、死活問題にもなりかねないといっても過言ではありません。
これを機会にキャッシュレス決済についての知識を学んで、自身にあった方法で実践してみてはいかがでしょうか。