Amazonギフト券が関わる取引には、税金が関係することがあるのをご存知ですか?
きちんと申告・納税しないと、脱税になってしまうことも・・・
今回は、Amazonギフト券を受け取ったときや使ったとき、購入したときなど、ケースごとに注意点をご紹介します。
申告しないと脱税に!?Amazonギフト券をもらったとき
誕生日プレゼント、アフィリエイトの報酬、懸賞など、さまざまな場面でもらえるAmazonギフト券。嬉しいものですが、税金がかかる場合もあります。それぞれのケースを見ていきましょう。
アフィリエイトなど副業の報酬としてもらったとき
副業の報酬といえば、銀行振り込みでもらうことが多いと思いますが、Amazonギフト券でもらうこともあります。
たとえばAmazonアソシエイトの場合、報酬の受け取りは銀行振り込みかAmazonギフト券のどちらかを選ぶことができます。
副業で一定の収入があれば確定申告する必要がありますが、報酬をAmazonギフト券でもらった場合はどうなるのでしょうか?
「現金収入ではないので申告する必要はないだろう」と考え、節税のために報酬をAmazonギフト券でもらおうと考える人がいるようです。
しかし、Amazonギフト券であろうと現金であろうと、同じように所得税はかかります。
申告しないと、節税ではなく脱税になってしまいます。
申告する必要があるのは、副業の所得が年20万円を超えた場合です。
所得というのは、報酬金額ではなく、経費を引いた実際の利益です。アフィリエイトならドメイン代やサーバー代、通信費、電気代(アフィリエイトで使っている割合のみ)などを経費として計上できます。
たとえば、Amazonギフト券でもらった報酬金額が21万円で、経費が1万円かかったなら、実際の利益は20万円になります。このような場合は、報酬が20万円を超えていても、所得は20万円以下なので、所得税の申告は不要です。
ただし、20万円以下でも住民税の申告はする必要があります。
ちなみに、給与所得者ではない場合は、すべての所得の合計が38万円を超えたら所得税の申告が必要です。
住民税は38万円以下でも申告しなければなりません。
売上代金としてもらったとき
副業ではなく、本業の売上代金としてAmazonギフト券をもらった場合も、現金と同じように扱います。Amazonギフト券でもらった売上代金にも、法人なら法人税、個人事業主なら所得税がかかります。
きちんと売上に計上して申告しないと、脱税になってしまうので気をつけましょう。
プレゼントとしてもらったとき
個人からAmazonギフト券や現金、物をプレゼントされた場合、年間の合計額が110万円を超えると贈与税がかかります。
誕生日やクリスマス、記念日などのプレゼントをもらうことがあると思いますが、他にもらった物と合わせて110万円を超えたら、贈与税の申告が必要です。
Amazonのほしい物リストからもらった物も、贈与税の対象になります。
リストを公開している方は、もらった物の合計額が年間110万円を超えていないか注意しましょう。Amazonギフト券も他の商品も対象です。
ただし、
「夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産で、通常必要と認められるもの」
「個人から受ける香典、花輪代、年末年始の贈答、祝物又は見舞いなどのための金品で、社会通念上相当と認められるもの」(国税庁HPより引用)
の場合は、贈与税の対象にはなりません。
家族の扶養に入っている人が、生活に必要な食品や日用品を買うためのAmazonギフト券をもらった場合や、お歳暮やお中元、結婚祝いや出産祝いとしてもらった場合は、常識的に考えて不自然に高額でなければ贈与税はかからないということです。
また、親や祖父母から生前贈与を受けているなど、他に高額の贈与を受けている場合にも注意が必要です。贈与税がかからない範囲で贈与を受けていても、Amazonギフト券などをもらうと年間110万円を超える可能性もあります。
相手の厚意でもらう物に対して、税金の心配をしなければいけないのは少々無粋な気がしますが、心配ならほしい物リストの商品を減らすなどして、もらう金額を減らしたほうがいいかもしれませんね。
懸賞に当選してもらったとき
懸賞に当選してAmazonギフト券をもらった場合は、一時所得になります。
50万円の特別控除が認められているので、当選金額が50万円以下の場合は申告不要です。
50万円を超える場合は、以下のように計算します。
所得税の課税対象は、この一時所得の1/2の金額です。
給与所得者の場合は、この課税対象の金額と、副業の所得など給与所得以外の合計が20万円以下なら確定申告は不要です。
給与所得者以外の場合は、課税対象の金額と、その他すべての所得の合計が38万円以下なら確定申告不要です。住民税は、課税対象になる金額が1円でもあれば誰でも申告が必要です。
勤務先からもらったとき
社内表彰や創業記念などで、勤務先からAmazonギフト券をもらった場合は、給与として扱われ、所得税がかかります。
ただし、結婚祝い、出産祝いなどでもらった場合は、社会通念上相当と認められるものについては所得税がかかりません。
所得税がかかる場合でも、従業員が申告する必要はありません。会社がAmazonギフト券を含めた給与の金額から所得税を計算し、給与から天引きして納付する決まりになっているからです。
もし会社がギフト券の金額を計算に入れていなかったとしても、従業員が脱税したとしてペナルティを受けるようなことはありません。
勤務先からAmazonギフト券をもらった場合の処理は、会社に任せておけば大丈夫でしょう。
これも脱税に!?Amazonギフト券を購入したとき、使ったときの注意点
次は、Amazonギフト券を購入したとき、使ったときの注意点を見ていきましょう。
Amazonギフト券に消費税はかからない
Amazonギフト券を購入したときに消費税はかかりません。購入したAmazonギフト券で、事業で使う消耗品などを購入したときに、消費税がかかります。
消費税の課税事業者で、一般(原則)課税の場合、受け取った消費税額から支払った消費税額を引いて納付する消費税額を計算します。Amazonギフト券を購入したときと使ったとき、どちらも課税仕入れとして処理してしまうと、支払った消費税額が二重に計上されて、本来納付するべき消費税額より少なくなってしまいます。
該当する事業者の方は注意しましょう。
Amazonギフト券を購入しただけでは経費にできない
Amazonギフト券は、購入しただけでは経費に計上できません。
たとえば、Amazonギフト券を1万円現金で購入したら、以下のように仕訳をします。
(借方) 他店商品券 10,000 (貸方) 現金 10,000
この時点では、現金が減って商品券という資産が増えただけなので、経費にはなりません。
Amazonギフト券を大量に購入して、接待交際費などの経費に計上して節税しようと考える人がいますが、脱税になりますのでやってはいけません。
購入したAmazonギフト券を事業用に使うと経費になる
Amazonギフト券は、事業のために使ったときにはじめて経費に計上できます。
たとえば、消耗品を購入した場合は、以下のような仕訳をします。
(借方) 消耗品費 10,000 (貸方) 他店商品券 10,000
従業員に支給した場合は、
(借方) 給与または福利厚生費 10,000 他店商品券 10,000
となります。
原則的には、ギフト券またはギフト券で購入した商品を渡した場合、給与となり従業員に所得税がかかります。源泉徴収の対象になるので、給与の金額に含めるのを忘れないようにしましょう。
例外として、結婚祝いや出産祝いは、社会通念上相当と認められるものについては、福利厚生費となり所得税はかかりません。ただし、誕生日祝いは社会通念上相当と認められないとされた判例もありますので注意してください。
取引先に贈った場合は、
(借方) 接待交際費 10,000 他店商品券 10,000
となります。
注意点は消費税の扱いです。
Amazonギフト券で購入した商品を渡した場合は課税仕入れにできますが、Amazonギフト券自体を渡した場合は課税仕入れにはできません。渡した相手が従業員でも取引先でも同じです。
購入したAmazonギフト券を私的に使ったら脱税!?
事業用に使うつもりで購入したAmazonギフト券を私的に使った場合は、経費にしてはいけません。
事業に無関係の商品を購入して経費にすると脱税になります。
法人の場合は、社長がギフト券で私物を買ったり、換金してポケットマネーにしたりすると、役員賞与になります。この役員賞与は経費にできません。また、社長個人に所得税がかかるので、源泉徴収する必要があります。
これを接待交際費として経費に計上すると、法人税と源泉所得税を脱税することになってしまいます。
個人事業主の場合は、事業主貸として処理します。
(借方) 事業主貸 10,000 (貸方) 他店商品券 10,000
事業に関する出費であれば、できるだけ経費に計上したほうが節税になりますが、事業に関係ない私的な出費まで経費にしたら脱税です。気をつけましょう。
購入したギフト券を私的に使ったら脱税、というわけではなく、私的に使ったのに事業で使ったように嘘の申告をして、支払うべき税金を支払わないのが脱税なのです。
Amazonギフト券は決められたルールに乗っ取って正しく使用すれば何の問題もない便利なものです。
具体的な使い方などの情報は下記記事にまとめてありますのでご一読をお勧めします。
分からないことをネットで調べるときの注意点
Amazonギフト券に関わる取引で、税金が関わってくるケースをご紹介してきましたが、他にも個別にさまざまなケースがあると思います。
どうしたらいいのか分からず、ネットで調べる方も多いと思いますが、ネットには誤った情報も少なくありません。
「みんなやっているから」「少額ならバレないから」などと、脱税の手口を教えているサイトもあります。
また、税法は頻繁に改正されているので、改正前の古い情報が載っているサイトもあります。(この記事は2019年5月31日時点の情報です)
国税庁のサイトなど、信頼できる最新の情報を確認するようにしましょう。
とはいえ、国税庁のサイトの説明は難しい用語が多く、理解できないという方もいると思います。
おすすめは、「税理士ドットコム」という税理士に無料で税務相談ができるオンラインサービスです。
ここで相談してみて、自分には難しいと思ったら、税理士に申告を依頼してもよいでしょう。
気になるAmazonギフト券と税金の関係性 まとめ
Amazonギフト券が関わる取引には、法人税、所得税、住民税、贈与税、消費税といったさまざまな税金が関係しています。
正直難しくて分からない!めんどくさい!と思ってしまった方もいるかもしれませんね。
ですが、脱税すると加算税や延滞税がかかりますし、悪質な場合は逮捕されることもあります。「知らなかった」では済まされません。